
薬「レカネマブ」の現在地について
皆さま、こんにちは!
今回は、アルツハイマー病の治療に希望の光をもたらす新薬、「レカネマブ(レケンビ®)」について、今回は、皆さんに分かりやすくお伝えしたいと思います。従来の治療薬とは違う、新しいタイプのお薬なんですよ。
I. アルツハイマー病治療に現れた新たな光:レカネマブってどんな薬?
これまでアルツハイマー病の治療は、症状を和らげる「対症療法」が中心でした。でも、このレカネマブは、病気の根本原因にアプローチする「疾患修飾薬」という新しいタイプのお薬なんです。エーザイさんとバイオジェンさんが開発されたこのお薬は、アルツハイマー病の主な原因と考えられている、脳の中の「アミロイドβ(Aβ)」という悪いタンパク質の蓄積を減らしてくれるんですよ。
特にすごいのは、アミロイドβが固まり始める前の段階の「プロトフィブリル」というものに作用して、それを取り除いてくれる点です。これは、日本で初めての「根本治療薬」と言えるもので、病気の早い段階で治療を始めることの大切さを示し、治療戦略を大きく変えるきっかけとなっています。
II. レカネマブの承認と保険適用:日本での現状
レカネマブは、アメリカで2023年1月に緊急承認され、7月には正式に承認されて、公的な医療保険の対象になりました。日本でも、2023年9月25日に承認され、12月には薬の価格が決められて、いよいよ使えるようになったんですよ。ヨーロッパでも2025年4月16日に承認されています。
気になるお値段ですが、年間で約298万円となかなか高額です。でもご安心ください!日本では公的医療保険が適用されますし、「高額療養費制度」という強い味方があります。これを使えば、例えば70歳以上の一般所得層の方なら、年間で自己負担の上限が約14.4万円に抑えられるんです。これなら少し安心できますよね。
III. 誰がレカネマブの対象となるの?:厳格な投与条件
レカネマブは、誰もがすぐに使えるわけではありません。対象となるのは、アルツハイマー病による「軽度認知障害」または「軽度アルツハイマー型認知症」の患者さんに限られます。
具体的には、認知機能を測るMMSEスコアが22点以上、CDRスコアが0.5~1という基準があります。さらに、脳の中にアミロイドβがたまっているかどうかを、「アミロイドPET検査」か「髄液検査」で確認する必要があります。そして、投与前にはMRI検査で、脳に微小な出血がないか、大きな脳出血がないか、血管性の脳のむくみがないかなどを細かくチェックします。これらの条件はとても厳しく、治療を受けられる方が限られてしまうことや、医療体制の課題も浮き彫りになっています。
IV. 投与プロセスと期待される効果
レカネマブは、2週間に1回、約1時間から1時間半かけて、点滴で投与されます。原則として18か月間続けることになります。
大規模な臨床試験「Clarity AD試験」では、偽薬と比べて18か月後の認知機能の低下を27%も抑え、病気が進行するリスクも31%減らしたという結果が出ているんです。脳内のアミロイドの蓄積も、はっきりと減ったことが確認されています。
この「進行を遅らせる」という効果は、患者さんがご自身の力で生活できる期間を長くし、ご家族の介護の負担を減らす上でも、とても大きな意味を持っています。
V. 知っておくべき副作用:アミロイド関連画像異常(ARIA)
レカネマブで特に注意が必要な副作用は、「アミロイド関連画像異常(ARIA)」と呼ばれるものです。これは、脳のむくみ(ARIA-E)や脳の中の小さな出血(ARIA-H)として現れることがあります。
多くの場合、症状がないことが多いのですが、頭痛や混乱などの症状が出ることもあり、ごくまれに重い症状になることもあります。先ほどのClarity AD試験では、ARIAの発現率は21%で、そのうち症状が出た方は3%でした。特定の遺伝子(APOE4ホモ接合体)を持っている方では、重いARIA-Hのリスクが高いことが分かっています。
ARIAを早期に発見するためには、治療中に定期的なMRI検査が欠かせません。また、点滴を受けているときに、注入に伴う反応が26%と比較的高頻度で報告されています。
VI. 日本におけるレカネマブ投与の現状と普及への課題
2024年3月上旬の時点では、レカネマブを処方できる医療機関は全国で約250施設にとどまっています(これは国内の医療機関全体の0.1%強です)。2024年2月7日時点での累計投与患者数は100人、2024年度末には7000人に達する見込みだそう。
アミロイドPET検査ができる施設も84施設とまだ少なく、MRIの予約も取りにくいという課題があります。また、薬を使うためのガイドラインで定められた専門医の配置の条件も厳しいため、治療を受けられる場所が地域によって偏りが出てしまっています。2週間に1回の点滴通院も、患者さんやご家族にとっては大きな負担となりますよね。
VII. レカネマブの今後の展望とアルツハイマー病治療の未来
レカネマブがもっと多くの方に届くためには、今後の進展が期待されます。例えば、点滴ではなく自宅で打てるような皮下注射製剤の開発が進めば、通院の負担がぐっと減りますよね。
また、採血だけで簡単に早期診断ができる「血液バイオマーカー」の開発も期待されています。そして、地域全体で診断から治療までスムーズに連携できるような仕組み(パスウェイ)が作られることも大切です。
レカネマブは、病気の進行を遅らせてくれる薬ですが、残念ながら完治させるものではありません。そのため、ドナネマブなど次の世代の治療薬の開発や、薬だけでなく他の治療法も組み合わせた複合的な治療戦略が、今後のアルツハイマー病治療の鍵となるでしょう。
VIII. まとめ:早期受診と正しい理解が未来を拓く
レカネマブは、アルツハイマー病治療において本当に画期的な一歩です。でも、効果を最大限に引き出すためには、早い段階での診断と治療の開始が不可欠です。
厳格な投与条件や、まだ限られた医療機関でしか受けられないといった課題はありますが、今後は皮下注射製剤や血液バイオマーカー、そして地域連携の進展によって、もっと多くの方が治療を受けやすくなることが期待されています。
完全に病気を治す薬ではないからこそ、次の世代の治療薬や、薬とそれ以外の治療法を組み合わせた複合的な治療戦略が重要になってきます。
もし、ご自身やご家族のことで気になることがあれば、まずは早めに専門医を受診して、正しい知識を得ることが、明るい未来を拓く第一歩になりますよ。認知症に関する詳しい支援や活動については、以下のサイトもぜひご覧くださいね。
一般社団法人 日本認知症資産相談士協会
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