衝撃の事実:認知症が日本人の死因トップに。家族が見逃せない初期サインと「手を使う」予防法とは?

最近発表された研究結果が、多くの人々に衝撃を与えています。慶応大学とアメリカ・ワシントン大学の研究グループによる分析で、過去30年間の日本人の健康状態を調べたところ、「認知症」が日本人の死因の第1位になったことが明らかになりました 。これは、私たちが長寿社会を迎えたことの証であると同時に、新たな健康課題が浮き彫りになったことを示しています。この記事では、この研究の詳細、ご家族が気づくべき認知症の初期サイン、そして専門家が推奨する予防法について、わかりやすく解説します。

長寿社会の現実:認知症が死因トップへ

今回の研究は、1990年から2021年までの約30年間にわたる日本人の健康データを詳細に分析したものです 。その結果、1990年には死因の6位だった認知症が、2021年には第1位へと上昇したことが判明しました 。

なぜこのような変化が起きたのでしょうか?背景には、医療技術の目覚ましい進歩があります。かつて死因の上位を占めていた脳卒中や虚血性心疾患(心筋梗塞など)による死亡が大幅に減少したのです 。これにより日本人の平均寿命は延びましたが、その一方で、高齢になるほど発症リスクが高まる認知症の影響が相対的に大きくなりました。これは、医療の成功がもたらした長寿という恩恵の、いわばもう一つの側面と言えるでしょう。長く生きられるようになったからこそ、加齢に伴う疾患への対策がより重要になっているのです。

統計データを見ると、2021年における日本の認知症による死亡率は、人口10万人あたり約135人に達しています。これはイタリアやアメリカをも上回り、世界で最も高い水準です 。この事実は、日本が世界に先駆けて超高齢社会の課題に直面していることを示しており、他の国々にとっても将来の課題を示唆している可能性があります。

ただし、重要な注意点もあります。もし、さまざまながん(肺がん、胃がん、大腸がんなど)を個別に数えるのではなく、「がん全体」として一つにまとめれば、依然としてがんが日本人の死因のトップであることに変わりはありません 。今回の研究結果は、個別の疾患として見た場合に、認知症が脳卒中や心疾患などを上回る主要な死因となったことを示しています。

「あれ?」と思ったら…家族が気づきたい認知症の初期サイン

認知症は、早期に気づき、適切な対応を始めることが非常に重要です。しかし、初期の変化はゆっくりと現れることが多く、単なる「歳のせい」と見過ごされがちです。ご家族など身近な人が、以下のような変化に気づくことが早期発見の鍵となります 。

  • 物忘れが激しくなる: 同じことを何度も聞いたり、話したりする。少し前の出来事をすっかり忘れてしまう。
  • 物の名前が出てこない: 「あれ」「それ」といった指示代名詞が多くなり、具体的な物の名前を思い出すのに苦労する。
  • 金銭や薬の管理ができなくなる: 計算間違いが増えたり、お金の管理がずさんになったりする。処方された薬の飲み忘れや、飲み間違いが増える。
  • 人に会う約束を忘れる: 約束した日時や場所を忘れてしまったり、約束自体を覚えていなかったりする。
  • スケジュール管理がわからなくなる: 予定を立てたり、段取りを考えたりすることが難しくなる。

これらのサインは、認知症の可能性を示すものですが、必ずしも認知症とは限りません。しかし、「もしかして?」と感じたら、専門医への相談を考えるきっかけとすることが大切です。

ところが、太陽生命少子高齢社会研究所の調査によると、家族が認知症の可能性に気づいてから実際に医療機関を受診させるまでに平均で11.6カ月、診断が確定するまでには平均16.2カ月もかかっているという実態があります 。この期間の長さは、本人や家族の戸惑い、受診への抵抗感、あるいはどこに相談すればよいかわからないといった、さまざまな障壁が存在することを示唆しています。早期対応の重要性を考えると、この「気づき」から「行動」へのギャップを埋めることが大きな課題です。

未来を守るために:専門家が推奨する認知症予防策

認知症は、誰にでも起こりうる病気ですが、日々の生活習慣を見直すことで、発症リスクを低減できる可能性が指摘されています。専門家は、以下の4つの柱が重要だと述べています 。

  1. 頭を動かすこと(頭の体操): 新しいことを学んだり、趣味に没頭したり、パズルを解いたりするなど、脳に刺激を与える活動。
  2. 体を動かすこと(体の体操): 定期的な運動習慣。ウォーキングなどの有酸素運動が推奨されます。
  3. 食生活の改善: バランスの取れた食事を心がける。特に野菜や魚の摂取が勧められます。
  4. 質の良い睡眠をとること: 十分な睡眠時間を確保し、規則正しい睡眠リズムを保つ。

これらの基本的な予防策に加えて、専門家が特に重要性を強調しているのが「手を動かすこと」です 。日本認知症予防協会の代表理事である佐々木誠医師によると、手指は「第二の脳」とも呼ばれ、体の中で最も多くの刺激を脳に伝える部位です 。そのため、意識的に手を使う活動を取り入れることが、認知症予防に非常に効果的だと考えられています。

具体的には、以下のような日常的な活動が挙げられます 。

  • 字を書く: 日記をつけたり、手紙を書いたりする。
  • パソコンのキーボードを操作する: メールを書いたり、文章を作成したりする。
  • 楽器を演奏する: ピアノやギターなど、指先を使う楽器を演奏する。
  • 園芸で土いじりをする: 植物を育てたり、庭の手入れをしたりする。

これらの活動は、特別なものではなく、日常生活の中で気軽に取り入れられるものばかりです。認知症予防は、難しい脳トレだけではありません。こうした身近な活動や、後述する生活習慣病の管理といった、日々の積み重ねが大切なのです。

さらに佐々木医師は、糖尿病や高血圧、脂質異常症(高コレステロールなど)といった生活習慣病が、認知症の発症リスクを高める可能性があることも指摘しています 。これらの病気を予防・管理することも、脳の健康を守る上で欠かせません。つまり、認知症予防は、体全体の健康管理と密接に結びついているのです。

また、佐々木医師は、認知症が進行した場合の深刻な影響についても言及しています。認知機能の低下が進むと、食べ物をうまく飲み込む機能(嚥下機能)が低下し、食べ物や唾液が誤って気管に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」を起こしやすくなります。これが原因で起こる肺炎(誤嚥性肺炎)が、最終的な死因となるケースも少なくないのです 。この事実は、認知症が単なる記憶障害にとどまらず、生命維持に関わる身体機能にも影響を及ぼし、直接的・間接的な死因となりうることを具体的に示しています。

気づいたら早めに専門機関へ相談を

前述の通り、家族が異変に気づいてから医療機関での診断に至るまでには、平均して1年以上もの時間がかかっています 。もし、ご自身やご家族のことで「何かおかしいな」と感じることがあれば、決してためらわずに、かかりつけ医や地域の相談窓口、専門医療機関などに相談することが重要です。早期に相談することで、適切な検査や診断、そして必要なサポートや治療へと繋げることが可能になります。

まとめ:自分ごととして捉え、今日からできることを

認知症が日本人の死因の第1位になったというニュースは、長寿社会を生きる私たちにとって、無視できない現実です 。しかし、この事実は、私たちに悲観だけを促すものではありません。認知症の初期サインを知り、日々の生活の中で「手を使う」などの予防策を意識し、生活習慣病を管理することで、リスクを低減できる可能性があることを示しています。

認知症についての詳しい支援、活動は以下のサイトから御覧ください。

一般社団法人 日本認知症資産相談士協会
https://www.ninchisho-japan.com/

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